「一体誰のために生産性を上げてるの?」
今日、当館を10回以上ご利用頂けているお客様からこう言われた。
「今まで客室に入ってた館内着が無かったけど、、、なんで?」
実は、以前までは客室に館内着を入れる作業(通称;館内着いれ)を辞めてしまったためである。
館内着入れは、一般的な男性(L)と女性(M)のサイズを、人数に合わせて各客室に入れていく作業であった。
それは辞めた理由は簡単で、
例えば、Lサイズでは大きすぎるお客様もいらっしゃってて、そうゆうお客様には、チェックイン時に適したサイズを手渡していた。
元々部屋に用意していたLサイズは、客室に入れた以上、着てなくてもクリーニングには出す必要がでてくる。
そのため、無駄なコストが発生するし、かなりのお客様がサイズ変更するため、それならいっそのことチェックイン時にお客様のサイズに合ったものをお渡しすればいいじゃないかという結論になった。
スタッフとしてみれば、妥当な理由だと思うし、それをやって正解だと今も思っている。
30分以上かかる作業が無くなり、非常に効率的になったし、チェックイン時に渡すという対応策もスムーズに出来ていたため満足していた。
しかし、ご愛好頂いているリピーターには、こう言われたのである。
「今まで入ってた館内着が無いけど、、、なんで?」
「ここの宿はすごい気に入ってて、社員を連れて何度も来てるんだ。色んな人におススメもしてる。でも、こうゆうサービスを省いて、手抜きはじめたら、がっかりだよ。」
自分たちにとって、この館内着入れを省けたことは、非常に生産性の高いことだった。でも、お客様になんで?と聞かれて、納得のいく返事が出来る自信が無かった。
肝はここである。
「何かの作業を省いて生産性を上げることは大事だが、その結果、お客様に還元出来ているのか」ということである。
私達スタッフは、
「①作業を省く→②生産性を上げる」で満足していた。
しかし、お客様の目に映る事実は、「お部屋に館内着が無くなった」という事実だけで、うちらが生産性が上がったという過程は関係ないのである。つまりは、お客様には「手を抜いて質を下がったな」という事実のみしか残らないのである。
これは単なる事例だが、どこの会社でも当てはまることだと思う。
「以前は〜だったのに〜になった。」というような口コミが書かれているケースは、全てに当てはまることだと思う。何か理由があって辞めたことであり、それを企業側は良いと判断してやった。しかしお客様を不満にさせている。お客様のために改善したはずなのに、、、。
生産性を上げることは、一見企業にとってプラスのことだが、そこをゴールにしてしまうと、マイナスの印象を与えてしまうというジレンマがある事を知った。
じゃあ、生産性を上げようと考える時にどこをゴールにするか。
「①作業を省く→②生産性を上げる→③その代わりにお客様に何かしらの形で還元する」
作業を省いて生産性を上げようと考えた時、お客様に還元することまでを考えないと、「質が落ちた」と見なされることがある。
そして、生産性を上げた事の良し悪しを決めるのは、自分達では無く、お客様であることを、痛感させられた。
お客様が納得のいかなければ、それは、単に「手を抜いた」ということなのである。例え自分達にとってはそうで無くても。
だから、生産性を上げようと考える時には、以下の事まで踏み込んで考えることにした。
①「生産性を上げて、その分はどうゆう風にお客様に還元するか」
②「それをやる前と後で、お客様からするとどっちが良いのか」
③「本当にそれでいいのか。お客様になんでと聞かれて堂々と説明できるか」
これからは、ここまで踏み込んで考えていきたい。
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